リビングでは、すでに忍が夕飯の準備をしていた。

規則正しく具材を切る包丁の音が聞こえる。

忍は帰った透にちらりと視線を送ると、料理を続けながら言った。


「あら、沙綺は御館様の所に残ったらしいわね?
じゃあ少し夕飯作り過ぎちゃったわ…。
まぁ、明日の朝に食べればいいか。」

透は椅子に腰掛けると、テキパキと動く忍の背中に向けて話しかけた。


「すまん、早めに連絡すれば良かったな。」


「別に大したことじゃないから大丈夫よ。
それよりも、順調に作業は終わったの?」

忍は今日の結界を張る作業の進行状況について透に問いかけた。


「ああ、無事に終わったよ。何かあれば沙綺から連絡来るから大丈夫だ。」


…と、そこに彩音が透の横にチョコンと腰掛けて、忍に言った。


「しーちゃん、何か手伝うことある?」


「ん〜そうねぇ、じゃあ出来た料理運んで?もう食べれるから。」


「はぁ〜い!」

忍の指示に大して彩音は大きな返事をして、料理を運びだした。

その様子を透はボーっと何も考えずに見つめていた。