女は魅惑的な微笑みで主を見つめて続けた。

「この前、鵺に会ったの。白蓮の屋敷でね…。
私はてっきり神楽の坊やと遊ぶのかと思ってたのに、白蓮を狙ったのは貴方の差し金だから?」



「…さあな、奴に全てを任しているから、ほかの事は知らん。結果が出せれば方法は問わん。」


「そう…あんまり坊やをイジメたらだめよ?私のお気に入りなんだから。」

女はそう言って楽しそうに笑った。
その様子を見て、主が呟いた。


「ほぅ、ずいぶんとご機嫌だな…。次はこの国に混乱をもたらすつもりか?」


「フフ…人聞きの悪いこと言っちゃだめよ?そんなつもりなんて無いわ。」


「まぁよい、つまりは神楽に手を出すなと言いに来たのだな?」


女は胸を持ち上げるようにして腕を組むと、ゆっくりと答えた。


「そうよ。貴方の目的が百鬼夜行ならば、坊やにイタズラするのは控える事ね…。
いくら貴方でも、過ぎた行いは身を滅ぼすわよ?
…じゃあね、後は任せるわ。」



それだけ言うと、女は振り返って再び闇の中へ溶けていった…。



「ふふふふ…。しかし、それもまた一興よ。」

闇の中、主の低く冷たい声がこだました。