テクテクテクテク…トコトコトコ


屋敷を出た透と忍は、2人とも黙ったまま歩いていた。
透は考え事をしながら、忍はその様子を見ながら。


しかし、その状況に痺れを切らせた忍は透に話しかけた。


「ねぇ、あんたいつまで考えてるのよ?今考えても仕方ないでしょ!?」

忍に背中を叩かれて我に返った透はビックリした表情で忍を見た。


「お、すまんすまん。そうだよな…。わかっちゃいるんだが。」


「なーによ、辛気くさい顔して!似合わないわよ!シャンとしなさい。」


忍は可愛い顔で頬を膨らませて言った。


「わ、分かったよ。そんなに怒るなよ。」

透は苦笑いで返した。


「あんたがそんなんだと、こっちも調子狂うんだから!」


「へ?!何で忍の調子まで狂うんだよ!?」


「それは……ゴニョゴニョ…。」


「何だよ?よく聞こえないぞ?」


「何でもないわよ!さぁ、早く買い物行くわよ!」


少し顔を赤くした忍は歩く速度を上げて、透を追い抜いた。


「な、ちょっと待てよ!おい!忍!」

透はあわてて歩きだした。