透達が出ていった後に、白蓮は物思いに耽っていた。


(私にはまだ透さんに何が憑いているのか、はっきりとは分からない。
…蓋を開けるまでは、善か悪かも分からない。
でも、とても強い力は感じるのじゃ。)


そんな中途半端なことをむやみに言って、透の精神を揺さぶることをしたくなかったのが白蓮の本音だった。


妖が狙っているのは、恐らくその力であろうと白蓮は考えていた。
本部を襲撃したのは、何らかの刺激を与えて透の妖を引き出すキッカケを作ったのかもしれない…。



(それにしても私の命を救ってくれた女性は何者じゃ?
彼女も透さんの妖に気がついているような口振りじゃった。)


ぬえを怯ませて引き下がらせた妖艶な女性…。

白蓮やぬえですら存在に気がつかなかった女性…。

(彼女は一体…再び会うことがあるじゃろうか?)





白蓮はなおも静かに考え事に耽っていくのであった。