足音を立てないようにして、彩音は沙綺の頭の方へ向かった。
ソファーの陰に隠れると、クマのぬいぐるみで沙綺の顔をポフポフ叩いた。


「起きろ若いの!拙者はお腹が空いたでござる!おーきーろー!」

ポフポフ…ポフポフ


「んぁ?ニャム…リサちゃんダメだって‥そんな大胆な…んん。」


「おーきーろー!」

ポフポフ


「んー。んなぁ?…うおっ何だクマ」

沙綺は目を開けると、視界いっぱいに広がるクマの顔に、焦って飛び起きた。

辺りをきょろきょろして彩音を見つけると、ホッと肩を落とした。


「何だよ、彩音か。どうしたってんだ?」

沙綺は頭をかきながら大きなあくびをした。


「沙綺ちゃんご飯食べよぅ!今日何も食べてないからお腹空いたよぉ!」

彩音はクマのぬいぐるみを顔の前で動かしながら言った。


「あん?飯だぁ?そういや食ってねぇなぁ…。
わーったよ!顔洗ったら行くよ。」

沙綺はボーっとしながら言った。


「にひひ〜、じゃあ次はお兄ちゃんのお部屋訪問です!れっつごー!」

そして彩音はトコトコと沙綺の部屋を出ていった。