眠りについた透達は、日が沈む夕方まで目覚めることができなかった。
最初に目が覚めたのは車の中で一人だけ寝ていた彩音だった。
彩音はベッドの上で猫のように背伸びをすると、起きあがってあくびをした。
「ふみゅぅ…。」
ボーっとしたまま隣の忍を見て、抱き抱えているクマのぬいぐるみを取り上げた。
「おはよぅクマさん!もう夕方だねぇ?お腹空いたからお兄ちゃん達起こしに行こうか。」
それから彩音は忍の頭をなでながら言った。
「しーちゃんお疲れですねぇ?後から起こそうかな?
あ、そうだ!お兄ちゃんに起こしに来てもらおう!しーちゃんもその方が喜ぶよね!」
彩音は胸に抱いたクマのぬいぐるみに、ナイスアイデアだと言った。
それからトコトコと部屋を出て、まずは沙綺の部屋に行くことにした。
「まずは近くの沙綺ちゃんのお部屋訪問です!
準備はいいかなぁクマちゃん?」
そう言ってカチャッと少しドアを開いて覗き込んだ。
「お?沙綺ちゃん発見だ!」
そこにはソファーで寝ている沙綺の姿があった。
寝相がひどく悪い。
彩音はコッソリと部屋の中へ入っていった。