「沙綺、しかし帰り着くのはどのみち深夜だぞ？白蓮様も休まれているんじゃないか？
報告はどうする？」

その透の質問はもっともだといった表情で、沙綺は頭をかいた。


「確かにそうだなぁ。でも報告は早いに越したことはないし、このまま式神を使って御影さんに言っとくか？」


「そうね。彼は多分起きてるだろうから、そうした方がいいわ。
彼なら明日の朝には御館様に報告してくれるでしょう？」


「よし！んじゃ、このまま式神を屋敷まで飛ばすわ！」




しかし



式神は屋敷に入ることはおろか、近づくこともできずに上空を旋回し続けた。


「ん妙だぞ？式神が進入できない。目標が見あたらないみたいだ。」

沙綺は険しい顔で言った。


「どういうことだ沙綺？」

透が不思議そうな顔で問いかけた。


「まるで、そこに何もないみたいだ…。式神の発動にミスはねぇ。
一体どうなってやがる！」


「………。」


「とりあえず後少しみたいだし、急いで帰りましょう。直接屋敷に寄ればいいだけよ。」

忍が黙った透の代わりに案を出した。


そして透達は屋敷に向かって走って行った…。