「まさか、白蓮様の屋敷か」

透は沙綺の横顔を驚きながら見つめた。


「じゃあ沙綺ちゃんは、さっきの妖はオトリじゃないかって思うの？」

彩音は頭を傾けて沙綺の顔を見た。


「いや、俺の考えすぎかもしれん。ただ土蜘蛛の言った役目というのが俺たちの足止めなら、一番しっくりくるってだけさ。」


「確かにあんたが言うのも一理あるわね。」

今まで黙って聞いていた忍が言った。


「時間稼ぎなら、村から離れたことも、時間が遅くなるまで襲撃しなかったのも頷ける。
奴が来なかったら私たちも捜索に出て居なくなるかもしれない。
そこまで考えたかは知らないけど、まとめて襲撃した方が都合いいわよね…。」

その言葉を聞いて一同は黙って考え込んだ。





その沈黙を破ったのは透だった。

「…沙綺、式神を飛ばして様子を見たらどうだ？車よりは速いだろう？」


「ナイスアイデア！その手があった！」

沙綺は指をパチンと鳴らすと、窓を開けて外に呪符を一枚放った。



「あんたが一番先に気付きなさいよ…。」

忍はあきれてため息をついた。