それから約一時間…。




透達は男が示す場所へ向かっていた。





しかし、忍は歩きながら少しずつ心に引っかかることが浮かんできた。



(何か妙ね…この男達に慌てた様子がないわ?)


忍は先導する男を観察した。
たまに振り返って沙綺や透と何か話しているが、特に外傷は見当たらない。


(御影が注意しろって言うほどの妖に襲われて、この人数で民間人が逃げれるものかしら‥?)

忍が厳しい表情で歩いているのを見て、隣にいた彩音が心配そうに覗き込んだ。


「しーちゃんどうかしたの?疲れた?」

忍は彩音の方を見ると、何か怪しくないかと聞いた。
彩音は上を向いて考えた後、忍に言った。


「ん〜?気になったことは…あるかな?」


「何?彩音?」


「ん〜とねぇ、最初に外で叫んだでしょ?明かりが見えたって言ってたから、叫ばないで入ってくれば良かったじゃん?
あの家も村長さんのっぽいし!」

「」

「後ねぇ、後ろから歩いて来る人達、まだ一回もしゃべってないんだよ?話してるの村長さんと彩音達だけだもん。皆、おとなしいのかなぁ?」

忍はにっこり笑った彩音の顔を、冷や汗を流しながら見つめた。