「どうだ沙綺…変化はあったか?」




「いや、何も変わらない。」





屋敷に入って沙綺に式神を使わせてから、もう二時間近くになる。


透達は屋敷の囲炉裏に火をおこして、簡単な鍋を食べていた。



「今日は待つしかないのか?何なら探知能力が高い俺がおとりになってもいいが…。」


「いや、神楽はここに居て欲しい。いきなり襲われたら忍達の召喚も俺の呪符も間に合わないかもしれん。」

沙綺は鍋の中をゆっくりかき混ぜながらそう言った。


「下手に攻めれないのがチーム戦の弱点ね。」

忍はお椀の中を飲み干すと、一息ついて言った。


「バラバラになれば見つかるかもしれないけど、強い敵相手にそれをするのは自殺行為よ。」


確かにそれは言えているかもしれない。
バラバラになった隙に1人ずつやられる可能性もある。
確実な攻守をするには固まって待つのが一番安全な策と言えるかもしれない。

少なくとも、まだ近くにいるなら確実に向こうからやってくるはずだから…。







…その時、沙綺の式神が何かを見つけたようだ。