外に出ると空の半分は夜の色に染まり、山の向こうに夕日のカケラだけが微かに見える時間になっていた。


村のあちこちにポツポツと裸電球があるが、電柱の周りだけ少し明るい程度で、とても照明と言える光ではなかった。


「ヤバいわね…これじゃ離れた所から来たら見えないわ。」


「そうだな、俺は妖の能力があるからあまり変わらないが、忍達はそうもいかないよな?」


刻一刻と暗くなる空を見て、透は忍にそう言った。



「うかつに山に入るのも危険すぎるし、閉じこもってても始まらない。一度帰って沙綺の式神に探らせるのがベストね。
符術士は結構便利よね。」




「そうだな、誰かさんにぶっ飛ばされた符術士さんは結構便利だぞ?」

透はボソッとつぶやいた。


「何か言った!?」

「い、いいえ何も。さぁ屋敷に入ろうぜ!」

透は軽く流して屋敷に入っていった。


「よし!沙綺ちゃんおこそぅ!行くよしーちゃん!」

彩音は忍の手を引いて走り出した。