【『失礼な事を聞いても、いいかな…』】

私は、頷きながら、そのまま陵君の点字を読んだ。


【『…今も、まだ彼を愛している…心の中に、まだ彼が…』】


「居ない!」


【!!…千冬】


千冬は、俺から手を離した。


「……私の中には、彼は…琉汰は居ない…」


「…………」


俺は、千冬の言葉を聞きながら拳を握った。




私は、嘘をついた……。



あの時、本当は声を出して、琉汰を今でも、愛していると今もこれからも琉汰は、私の心の中に居つ続けると言いたかった………でも、口にした瞬間たぶん私は……。








【……千冬……俺は、変わらないよ…千冬が、他の誰かを愛し始めていても……変わらない……】





朝起きると、窓を叩く雨の音が聞こえた。


「おはよう、お母さん」



「おはよう!今日は朝から凄い雨よ!」


「そうみたいね…」


「今、ご飯出すから座って待ってて」


「うん、ありがとう」


私は、テレビのリモコンのボタンを押しテレビをつけた。


テレビの中では、アメリカの天気を伝える、女の人の声が、私の耳に入った。



【…琉汰…】