黒沢の横顔。
垂れた長めの髪がカレーに入りそう。

黒沢は青木くんのことどう思ってるんだろう……。
よく無神経にカレー食べられるよね。
あたし、あの唇にキスされたんだよなあ………。


「なに?ほしい?」


ぼーっとしてたあたしの視界に、急に黒沢が入ってくる。
あたしは無意識のうちに黒沢を見ていたのか、黒沢がスプーンを差し出している。

「へっ?あっ、いや、
要らない!」
び、びっくりしたあ…。

咄嗟に否定してしまった後に、はっと青木くんが目に入る。
「あっいや青木くんのカレーが要らないわけではなくてっいやっあの」
わあーなにやってるの自分。要らないなんてひどい。

「なに焦ってんだよ」
黒沢は小馬鹿にしたように笑って、スプーンのカレーを差し出した。

「遠慮すんな?」