自転車のペダルってこんなに軽かったっけ

初夏の心地良い風邪が夏の香りを運んでくる

ペダルをぐいぐいと漕いで進むが行き先は決まっていない

銀色の荷台には君の姿はない

僕の肩に捕まっていたあの頃

もう随分前の筈なのに昨日の事のように感じる

もう君が僕の荷台に乗らない事は分かってる

僕の肩に捕まれない事も知っている

でも諦められなくて

一人で自転車に乗るのは辛すぎる

大事な物の重さがペダルに感じられない

ようやく緑色が濃くなってきた木々を見る

一瞬景色が歪んでその度に目を乱雑に僕の袖でこする

いつもと変わらない風が僕を包む