あたしがうとうとし始めた頃だった。



ガチャッと開いたドアから入って来たのは虎君。



別の部屋で寝てるから夜にあたしの部屋に来るってあんまりないのに…。



「寝てんの?」



虎君の言葉は無視して目をつぶり続けた。



もう知らないもん…。



「林檎」

「…………」

「起きなきゃ襲うぞコラ」

「おはよう!!」

「起きてんじゃん…。怒ってんのか?」



怒ってるわけじゃないもん…。



ただ拗ねてるだけだもん…。



虎君があたしの上に乗って見下ろして来る…。



見慣れた光景…。



「どうして来たの…」

「キスしたくて」

「なっ!?」

「顔上げろよ」

「や、ヤダ…」

「なんで?そんなにデートしてぇの?」



今キスしたらごまかされる…。



虎君ははぐらかしたりするのが得意だもん…。



コクッと頷くと優しい手つきで頭を撫でられた。



「明日晴れたら海行くか」

「えっ!?いいの!?」

「ん、たまにはお前のいうこと聞いてやんなきゃな。嫌われたくねぇし」

「虎君…」



なんかキュンとなっちゃった…。