3試合してやっと満足した祖父さんは林檎を解放してくれた。



まぁ林檎が嫁に来ても反対しないみたいだからいいか。



俺は帰りてぇよ…。



「また来ていいですか?」

「イチゴさんなら大歓迎だよ。次は負けないように携帯で特訓しておく」

「それじゃあお邪魔しました!!」

「あっ、虎之助、ちょっと待ちたまえ」



まだなにかあんのかよ…。



部屋の中に消えた祖父さんは小さな箱を持ってやって来た。



パカッと開けると小さなダイヤがついた指輪…。



「若かりしころ、私が家内にあげた指輪だ。これはお前が持ってなさい。安物だけど気持ちは本物だったから」

「でも大切な形見なのでは…」

「いいんだ。イチゴさんにプロポーズするときに渡しなさい」



祖父さんの気持ちがすげぇ嬉しくて、有り難く受け取った。



林檎がウルッと来てる…。



「イチゴさんは昔の祖母さんによく似てる」

「えっ!?」

「はははっ!!じゃあまた来てくれ」



ふたりでお礼を言ってからマンションを後にした。