【林檎】



カシャカシャとノートに書くペンの音だけが響く虎君の部屋。



初めて見る虎君の勉強姿…。



こう見えて、虎君は受験生。



最近、仕事を減らして勉強に集中してる。



将来の後継ぎが虎君って決まったことを知って、お祖父さんに認められるために今までやってた仕事を激減させた。



ん~、勉強姿もステキ…。



むしろ…。



「好き…」

「あ?」

「なんでもなぁい!!頑張って!!」

「あぁ…」



イライラしてるような気もしないでもないけど、今年は頑張らなきゃね。



虎君だから大丈夫だとは思うけどさ。



あたしは邪魔じゃないのかな…虎君の背中に寄り掛かってて…。



「休憩…」



その声が聞こえたのはあたしが寝そうになってた時。



急に立ち上がった虎君のせいで後ろに倒れてテーブルに頭を打った…。



「いだい…」

「俺が必死に勉強してんのに居眠りか?」

「うん…」

「お前、なんのためにいるかわかってる?」



なんのため?