【林檎】



全く知らない場所…。



高そうなソファと高級テーブル。



あの置き時計はアンティークかな…。



なんて、本当は冷静な判断はできない。



口にはガムテープが貼られ、後ろ手に縛られた手首はさっきから痛い…。



見たこともない男がバシッとあたしを平手で叩いた。



「その目付き、ムカつく」



髪を掴まれて起こされた体はまだ無事…。



誰だろう、この人…。



「なんでお前がここにいるかわかるか?」



ブンブンと首を横に振るとニヤッと笑うこの男…。



超怖いよ…。



「荒瀬の息子には世話になってな」

「!?」

「よくもまぁあんな歳で俺の会社破綻させてくれたもんだ」



まだ20代だと思われるスーツを着た小綺麗な男…。



虎君を恨んでる人…。



その男の後ろにいるのがさっきあたしを拉致ったヤツら。



皆顔にケガをしてて、きっと虎君にやられた腹いせだろうと思ってた…。