ゴクッとジュースを一口飲んだ新太郎さんはあたしに名刺を差し出した。



「虎之助には黙っててほしいんだ」

「はぁ…?」

「俺はね、わざと憎まれ役を買って出た。本当は虎之助に感謝しなきゃいけないこととかもあるんだ。弟みたいだって勝手に思ってる」

「じゃあなんで…」

「虎之助を強くするためだよ。身内にだって遠慮するようなことはしちゃダメだ。だから憎まれとく」



演技なの?



ムカつかせたりしてるのは…新太郎さんなりの教育?



「お祖父様があなたを気に入ってた」

「えっ!?」

「これからも虎之助を支えてやってください」



も、ものすごくいい人っ!!



まさか周りも虎君を騙してるのかな…。



「じゃあ俺は行こうかな」

「あっ、紗奈さんによろしくお伝えください!!」

「ははっ!!彼女は婚約者なんかじゃないよ!!あれもフリ」

「えぇぇぇぇっ!?」

「なにかあったら電話して。力になれることがあれば協力するよ」

「はいっ!!」



意外な収穫を得た学祭になりました…。