でもなぜでしょう、じいさんが林檎のためにタイピンを外した…。



「お好きなんですか、アンティーク」

「手をかけて大事にしてやれば今も生きる。そうやって愛されて来たものはそれなりの価値があるからな」

「そちらの時計も50年代に作られた数少ない逸品ですよね、さすが虎之助さんのお祖父様です」

「私について調べたのかね?」

「いえ、実家がアンティークの輸入なんかをしてまして。昔に少し手伝ってた経験が。でもこのタイピンに出会えるとは思いませんでした」



そうだったのかあの父ちゃん!!



無駄にツボとか花瓶が多かったからてっきりタダの骨董好きかと…。



「見る目だけはあるようだな」

「光栄です」

「名前はなんと言ったかね」

「川崎 林檎です」

「覚えておくよ」



マジかぁぁぁぁぁぁ!!



すっげぇな林檎!!



じいさんが去ってからフラッとフラついてる林檎を支えてやった。



「超怖かった…」



マジ助かった…。