目の前で繰り広げられた景色に
思考が完全に停止していた。


彼女の住家としていたビルは、
比較的高層で、周りから
狙撃されにくい立地だった。

そして、フロア数が確保できる
と、いうことは・・・


それなりの世帯数が
そこには、
住んでたということ。


家が焼かれてはーーー

はたまた遠くから
逃げてきてはーーーー

彼等の瞳は、
絶望の色しか
宿してなかったけど。

それでも、

それでも、

ひたすら生きてきた。


なのに・・・

こんな一瞬で・・
全てが奪われた。


「モニカ。
これに着替えろ。」


呆然とする彼女の状況など、
思慮などせぬように、
黒い生地の服が投げ渡された。