「私、いくわよ。」

俺の表情を見ていた、
彼女が言った。

「お前なあ、
前みたいな事になってみろ?!
誰も助けてくれないんだぞ?!」

思わず、カッとして、
声を荒げた。

「私・・・アイツには、
負けるつもりは、ないわ。」

動揺することなく、
言葉を続ける。


「あんたとの件だってあるし、
ここだって、安全なわけじゃ
ないんでしょ?
なら、こっちから、
いってやるわよ。」

「だってよ。ムーン。」

キムがオモシロそうに、
結論を促す。

「わかったよ。」

元々、俺の言い出した事
だが・・。

少しは、
心配する身に
なれってんだよ。

「ゾラ、無線を用意して
やってくれ。」

クローゼットから、
彼女の服を用意しながら、
指示をだす。

「ああ。
あっちは、どうする?」

「あっち・・・?」

尋ねた俺に、
キムは、自分のコメカミを、
数回指でたたき、暗示の事を
示した。

「そのままだ。

ずっと、動きを見てたが、
素人にしちゃ、
十分過ぎる反応だ。」

「そうかい。
頑固だな、旦那はよ。」

奴は、そういって、
部屋へ無線を取りに
戻っていった。