「おまえ、Mだったのか?」

キムは呆れつつ、
彼女の手錠を解いた。

「違うわよっ!もう。
赤くなってるよ。」

手首をみながら、
リディアは愚痴る。

「こんなもんは、
怪我のうちにはいらねえ。」

奴は、まるで本当の親の様に、
彼女の髪をガシガシっと
撫でた。


そう、かつて


俺が、作戦で、キム達を
捕獲した時から、コイツは、
モニカを実子のように、
庇い育てていた。


その時は、彼女が、
オンナだなんて、
気付きもしなかった。


「ムーン?」

キムに呼ばれ、はっとする。

「すまない、仕事・・・
だったよな?」

「ああ。」

奴は頷く。

「データはこれだ。」

マイクロチップを受取、
携帯電話に装着し、
内容を確認する。

「問題は、リディアだ。」

「ゾラ?」

突然、自分に話の矛先が向き、
彼女が警戒する。

「奴から、
リディアを連れてこいと、
連絡があった。」

いいながら、キズの状態を
チェックする。

「まあ、そうだよな。」

前に会わせてから、
程よく時間が流れている。

「まいったな。」

思わずつぶやく。