モニカを、ミオに預けて
養母の元へ車を飛ばした。

俺は、幼い頃から、
自分が養子であることを
知らされ育てられた。

『いつか、本当の
ご両親に会えるから。

それまで、私たちが
責任をもって
おまえを育てるよ。』

度々、聞かされた言葉だ。


二人には、実子がおらず
その代わりなのか、
俺は、大切に
育ててもらった。

どこかで確信していた通り
『いつか会える・・・』
なんてはずもなく、
俺は大人になり、
親父と同じく士官学校を経て
軍人になった。


「なんだありゃ?」

暴走気味に車を進める先
巨塔の玄関口のゲートで
実施される検問に気付く。

とっさに、助手席側に
放置したままになっている鞄を
座席の下のわずかな隙間に
隠す。


ミオに、引きずられるように
シャワールームに
ぶち込まれたことを
今更ながらに感謝する。


あんな血まみれの状態で
あそこを通過したなら、
面倒なことになっていた
だろうから。


「何の検問だ?」

探りを、いれてみる。