このまま何も言わずに。

転校してしまおうと言ったユリに。

私はどうしてもと。

シュンくんだけには、お礼が言いたいと言った。


それが叶い。

シュンくんの家の近くの公園で。

シュンくんに逢って、お礼を言い、優しい言葉をもらった私達は。

手を振るシュンくんを後に。

その帰り。

私のお母さんのお墓に、お参りに来ていた。


二人並んで、手を合わせる。


(・・・ごめんなさい、お母さん。)


私はそれだけを、天国にいるはずのお母さんに伝えた。

「ナナのことは任せてください。あたしが守って、立派な女の子に育ててみせます。」

ユリがそう口に出して、お参りをしている。

「ちょっと、ユリ!」

私は微笑みながらも、なんとなく言いそびれていた言葉を、ユリに投げかけた。

「・・・ユリ、本当に色々と、ありがとう。」