その瞬間。

「ヤエコ!行かないでくれ!!」


普段の温厚なお父さんからは、想像がつかないような大きな声で。

私の身体を、もの凄い力で抱きしめて。

そのまま身体中を、まさぐり始めた。


「お父さん、やめて!!」

私は必死になって、叫んだけれど。

お父さんには、聞こえているのかいないのか、パジャマの上着を、強引に引き裂いた。

ボタンが弾け飛んで、床に転がる。


「やめて!!私はお母さんじゃない!娘の・・・。」

ナナだよ。


そう言おうとしたときに。

お父さんの両手が、私の頬を包み込んだ。