“シュンくん”って言うんだ。

そう言えば、さっきぶつかって来た男の子のことを、レイジって呼んでたから・・・。

私がそんなことを考えていると。


「ナナが恋ねー。」

ユリがポソッと呟く。

「あっ、えっ?違う、違うのユリ。私、中庭のチューリップに水をあげる当番だったから・・・。その帰りに、職員室の前で、先生がプリントをプレゼントで、落とさないように歩いてたら、ここでレイジくんがドーンと来て。シュンくんがそっと両腕を握ってくれて、プリントがバーンとなったから・・・。」

ユリは私の肩に手を置いて。

「・・・ナナ。なに言ってるのか、全然分かんないよ・・・。」

「えっと、だ、だからね。シュンくんは、レイジくんと仲がいいんだなぁ、て思って。毎日待ってるなんて凄いなぁ、って。」

私はついついユリの話を利用して、ごまかしてしまった。


ユリはため息をつくと。

「確かに凄いよねー。友達以上な感じ。」

「えっ?」

あたしが不思議な顔でユリを見ると。

ユリは微笑んで、話を戻すように。

「シュンくんって優しそうだよねー。ナナには、ドストライクって感じ?」

そう言って、ケラケラと笑った。


再び頬が、熱くなる。

でもなんだか、ユリの笑い方が、いつもと違うような?

少し憂いがあるような響きに感じたのは、私の気のせいなのかな?