選考開始・10月30日

飛行機の窓の外、遥か眼下には山々が広がっていた。視界が移り、雄大に連なっていた山々が低くなるにつれ、緑の領域を人間の文明社会が侵食していく。盆地ともなれば、そこはすっかり人間が作り上げた灰色のコロニーとなった。
しかしそのしぶとく力強い人間の営みも、くっきりと引かれた海岸線で途切れ、その先には海の圧倒的な青だけが広がっていた。
僕は窓から顔を背け、手にした田口ランディの小説に再び目を落とした。今回の小旅行は天候に恵まれ、乱気流の揺れに冷や汗を流すことも無く、飛行機は羽田に向かっている。
高度10000mは非日常の世界だ。今の僕にもっとも必要な世界だ。わずかな、現実から切り離された時間。そして1時間後には、僕もあの灰色のコロニーの中の、飛行機からは見えないほどの塵のひとつに戻るのだ。
アナウンスが、飛行機がこれから着陸のため高度を下げること、気流の関係で若干揺れることを告げた。
僕は本を閉じて、目を瞑った。さよなら、そして、ただいま。
ひとつの旅が終わったのだ。


参加者のみなさま、読んで下さっているみなさま、遅くなってしまい大変申し訳ございませんでした。

そんなこんなで「第3回・壊れたドアノブ賞」選考を開始したいと思います!
賞の選考は、瞬発力・持久力・跳躍力・投てき力といった陸上多種目競技に必要な能力や、女子力や、ジョジョ(第5部)で言うところの覚悟や、柴犬のかわいさや、いろいろな事に気を取られながら、最終的には投票で決定したいと思います。
投票数や期間は、僕が思いつきで決めます。
だって主催者だから!
とりあえず、この賞が野いちご内で確固たる市民権を得ることができるよう(無理なのはわかってる)、トピで宣伝してまいります。
お酒は二十歳になってから!