「ちょ、ちょっと待ってください」
俺は混乱する自分の頭の中を整理するのに必死だった。
「雪音ちゃんは正樹さんとは腹違いの兄弟で、雪音ちゃんの実の妹が、元彼に殺された?」
俺はなるべく声が大きくならないよう抑えるのに必死だった。
そんなことあんのか?
つか、なんで…!?
「一言で片付けられるようなことじゃねえんだが、簡単に言うと、雪音の元彼は異常なくらい雪音に執着してたんだ…」
簡単に言うとって…
やきもちで人殺したってことか…?
妹に対してのやきもちでか…?
「ちょうど2年前だよ。雪音が高校入って初めての夏休みだった。今もそいつは少年院にいるよ」
「…」
俺は何も言葉が出てこなかった。
アンドロイドちゃんのことが気になるとか、好きなのかとか、今はそんなことどうでもいい。
ただ嫉妬心でアンドロイドちゃんの妹を奪ったやつに、なぜか言いようのない激しい怒りを感じていた。