そして何日かが過ぎ、仕事も慣れてきたあたしは、エリと出勤やあがりの時間がずれるようになって、自然とエリとの会話が少なくなった。


そんなある日、あたしが仕事を終えて、家に帰って来た時の事だった。

家は真っ暗で、エリはまだ帰って来てないんやって、思った瞬間…


いないはずの、エリの部屋から、「あ゛~、う゛~、」と、変な声が聞こえる。

びっくりして、エリの部屋のドアを開ける。

「エリ、おるん!?」

真っ暗な部屋に三角座りをして小さくなっているエリを見つけて、あたしは心臓が止まるかと思った。

「電気くらい付けえや~」

そう言って、エリの部屋の電気を付けた。

あたしは、いつもと様子の違うエリに、目を奪われた。


髪の毛はボサボサで、覇気のない顔。

それなのに、あたしを見た目は怖いくらいに鋭かった。

エリはあたしから目を離し、自分の髪の毛を指先にクルクルと絡ませては、また戻して…と、同じ事をずっと繰り返している。

それが覚醒剤を使用しているなんて、その頃のあたしには、分からなかった。

今まで見た事なかったから。