泣き腫らした目のまま、登校。

 あんな奴、死ねばいいのに。

 それか二度とあたしの前に現れるな。

 校長に直訴してやろうと思う。

「渡辺さん」

 昼休み。

 教室の出入り口であたしを呼んだのは、柚季先輩だった。

「あのさ」

 言いにくそうに、口を開く。

「え?」

 周りがうるさくて声は聞こえなかった。

 でも、唇の動きでなんとなくわかった。

『ぶないでつきあうのは、やめよう』

 どういう意味だろう。

 それを問う前に、

「はい」

 先輩は唇を噛んで踵を返し、

 

 行ってしまった。