―バレンタイン前日―

ピンポ−ン♪

「はぁ〜い♪」

軽やかなチャイムと共に、楓の声が響く。


ガチャッ

「おはよっ♪」

「おはよう♪あ、コレ材料・・・」

あたしは左手に持っていた袋を楓に渡す。

「ん、ありがと。
あ、入って入って♪」

「お邪魔しま−す。」


よく考えてみたら、楓の家にくるのは結構久しぶり。
そのせいもあって、今日がすごく楽しみだった。


「わぁ―!!」

リビングには、あたしが買ってきた材料以外と、必要な道具が揃っていた。

「何か、本格的だね♪」

「ちょっと、気合い入れすぎかな??」

照れくさそうに笑う楓は、まさに『恋する乙女』だった。