平和な世界から切り取られた、歪な施設。檻の中。
 
自分は既に、ここの住人なのだ。
 
彼女も執行所に採用された時に、よくは分からないながらも、どこかそれは諦めていたはずだった。
 

だけど、続くと思っていた毎日がどんどんねじ曲がっていくのは、怖い事だった。
 
また見られると思った顔が、面倒を見ている子供達がいなくなるのは、辛い事だった。
 

いいや、辛いなんていう言葉では表現しきれない。

もう会えないというのは、そう言う事だ。

 
彼女は以前、自分の事をもっと冷めた人間だと思っていた。
 

事実、冷めていた。
 

CPGの事も内心軽蔑していたし、彼らを養う為に自分が働かなければならないと思うと、何をする気にもなれなかった。


献立なんて適当に組み立てて、彩りも栄養素量も調理法も無視しまくって、

生活習慣病まっしぐらなメニューにしてやろうかと思ったことすら、多々ある。


だが、それは全て過去の事だった。