「僕ね、常世田博士が『これを作って壊した』理由が、分かったん。

こんなもの残しといたところで、良い事なんかありっこないよ。

だから、辞めたいん。いいよね? 

だって、どうせこのプログラム完成さしたって、



僕一生ここから出して貰えないんでしょ? 



唯一にして絶対の秘密を握ってる人間だもん」






 
「驚いたなぁ……そこまで勘付いてたんですか。いやー、見事見事……」








 
北條は突然、拍手をした。

倉本がそれをつまらなそうに眺めていたら、彼は白衣のポケットから小型の黒い銃を出して、倉本に向けた。


「……でも、そこから先は言っちゃいけませんよ。

先輩はもうどこへも行けません。

もちろん、アメリカにもね。先輩がこの国から出る事は、許されてませんから。

だって、死にたくないでしょう?」
 
安全装置が外された。
 
引き金を引けば、その先にいる倉本は、簡単に死んでしまうだろう。


「ねえ先輩。

……大人しく、プログラムの修復を続けて下さいよ。


仲良くしましょう? 

だって俺達、たった二人きりのチームじゃないですか……」