「侮辱ぅー? 

事実を簡潔に述べたまでじゃん。勘違いしないでくれる? 

ついでに僕から言わして貰うとね、僕は今直してるプログラムのが嫌いだよ。

大体、このプログラムは間違いだらけじゃんか。

こんなもの、あっちゃいけないと思う」
 
それを聞いた北條の顔色が変わった。
 
倉本は、それを見逃さなかった。


「確か、これを作ったのは常世田博士だったよね……? 

一時は暴君とまで呼ばれた鬼才……CPGの生みの親とでも言うべきかな。

そういえば、CPG達の新しい名前も、彼が考えたんだっけ?」

「……よくそこまで知ってますね」

「んー、その程度の表層の情報なら、簡単にどっからでも引き出せるし」

「ハッキングは、犯罪じゃないですか」

「そうだね。でもまあ、この際いいじゃんと思った。

あとね……僕はそろそろ本格的に、このチームを抜けたいって思ってるん。

僕はやっぱり、このプログラムを蘇らせる事に賛成しないから。

……修復してきて、だんだん分かったんさ」
 
北條は何も言わない。
 
ただ険しい顔をして、倉本の主張に耳を傾けている。