「さっきの女さ、お前の顔見て逃げたんだと思うんだけどな。

人体模型男」

「何だよバーコード」

「だからバーコードって言うなよ。

まるでガチでハゲてるみたいじゃん」

「はいはい。もう言わないよ。

お互い、自傷行為仲間として仲良くしようじゃないか」

「そういう事さらりと言うお前が怖いよ、俺は」
 

自分で自分の顔の皮を、半分だけ剥がした耕平は、皮膚が付いている方の顔で笑った。

ケロイドの方は、組織が突っ張って動かない。


「自傷行為のレベルじゃねえよ、それ。

どんなに狂っても出来ねえよ、それ。

まじやばいよ、それ。目立ち過ぎ。

後先考えないにも程があるだろ、それ。

格好良過ぎるだろ、それ」


「はいはい。どうでもいいよ」
 
耕平は、ケロイドを髪で隠しながら言った。

「そういえばさあ、欧米人って日本人より体強いらしいよ。

こういう傷とかも、綺麗さっぱり治っちゃうんだって。

だから、整形とかも痕が残らず、日本人より上手くいくとかって」

「ふうん」