「止めんなよ」

「止めるよ。お前、ほんっとに大人気ないなあ……」

「いいんだよ俺はまだサンタとピーターパンを信じられるくらいピュアな子供だから……


あー、逃げられた」
 

晴喜は、隙ありと言わんばかりに、ぴゅーっと逃げた。

小動物みたいにすばしっこく。
 
しかし、振り向きざまに晴喜はあかんべえをした。

「うわ、むかつく……あいつ……」
 
光が呻く横で、耕平はけらけら可愛い子じゃないか、と笑っていた。

「からかわれるのが嫌ならさ」

「腕?」

「うん。包帯でもリストバンドでも、すりゃあいいんだよ。

隠さないんだから、見えちまうんだ。

だから、見せてるお前が悪い」

「そりゃ正論だな。正論すぎて、涙が出ちゃうぜ」
 
光は、耕平の顔を指差した。

「同じ事が、お前にも言えるけどね」

 
耕平の顔。
 
彼の顔は、半分だけ、皮膚が無かった。
 
限りなく筋肉組織の露出に近い、ケロイドだった。
 

光は舌を出して笑った。