『べたべたが強いし、何かと便利』と笑顔を輝かせていた光に一同は呆れたが、

「はい、それでこれ指紋ね」
 
その一言に、ざわめきは止まった。

「……まあ、一番の問題は、指紋がちゃんと採れてなかったって事だよね。

残念ながらー。

でもね、僅かに付着していた血液は、何とか採れた……と、思いたい」

「で、その結果は?」






「………分かんない」
 


進藤の目が、クワッとなった。

「うう! すぐそういう顔する! 

どうせ君は、私が採取に失敗したとでも思ってるんだろ!」

「違うのか」

「違うよ! 

あれはねえ、サンプルが血液で私の専門外だから、生化学の方の人達に回したのー! 

そんくらい、いいでしょ別に」

「で、何故結果が分からないんだ?」

「送られて来ないから。

『急いで』って言ったんだけど、忘れてんのかも。

最近、ど忘れが酷いんだって、菱川まー君……」

 
――クワッ!


「あー! はいはい分かりました! 今すぐ、まー君に連絡するから! 

今すぐ連絡するから! それで満足!?」
 
玉城は、ゴソゴソと白衣のポケットから携帯電話を取り出し、菱川研究員に電話をかけた。