結局吉野に連れられて、一樹は渋々食堂へ向かう事になった。 ふと以前、誰かが、 「迷子と捨て子、どっちがましだと思う?」 というふうに言っていたのを思い出した。 迷子は、いつまでも帰る場所を探して、泣きながら彷徨うだけで。 捨て子は、もう自分を守るものなどないと知っているから、 何もかも諦めて前に進んでいける。