だが、穏やかに眠る晴喜を今更叩き起こすわけにもいかず、

一樹は病室からそっと抜け出した。
 
その時、遠くで「あー!」と誰かが声を上げた。

「やっと見付けた!今までそこにいたの?」
 
吉野だった。

彼女は一樹に近付くと、彼が逃げる前にがっしりと腕を組んだ。

「……何?」

「お昼よ。用意するから食べなさい」