本当の晴喜の声は、こんなに穏やかなものなのか、

と一樹は素直に驚いた。
 
一樹は椅子に座り直すと、

「悪かったな。造った人形……全部売らせて」
 
樋口から、聞いていた。

急に晴喜が人形を全て売り払うと言い出し、

仕方なくネットオークションで捌いたと。

「いいのよ。元々、そんなにいらなかったし。

……一番大切な人形は、ちゃんと手元に残してあるから。

……あの時、壊れてなければね」