(だが、この病棟にテレビは無い。

実際は、寮まで抜け出るつもりだったのだから、看護師の判断は正しい)

結局、病室には一樹と晴喜だけが残された。

一樹は、そろそろ自分も帰る頃だ、と椅子から立ち上がったが、

その時晴喜がぽつりと呟いた。


「……とんだ計画になっちゃったわね。



これは、罪から逃げようとした罰なのかしら」



ゆっくりと、透き通るような声だった。