樋口が出ていくと、病室は急に静かになった。 その沈黙に押され、しばらく誰も何も言えなくなった。 時計が、丁度三時を示した時だった。 光が口を開いた。 「……あ、やべー。テレビ始まっちゃったじゃん」 彼は、見たい番組があるという。 一樹はそれが、いつか光が熱心に話していた、 どこか遠い国の野生の動物を追ったドキュメンタリーだと察した。