晴喜が呟くと、青年はしゃがみ込み、手を差し伸べた。 「あの時は、手荒な真似をしてすまなかった」 喋り方はとても、優しかった。 だが彼は、薄暗いその場所でもはっきりと分かるほど、 返り血を浴びていた。 生臭い、胸が悪くなる臭いで、晴喜は吐き気を覚えた。 「村田が君を誘拐して監禁したのは、こちらの誤算だった。 でも、君にはこちら側へ来て欲しい。 さあ……」