晴喜は、顔を上げた。


「村田の奴……こんなところに隠してたとは」


その声は、よく知っている青年のものだった。
 

しかし、それはまったくの別人だった。
 

執行所から、自分を攫っていった青年だ。

一瞬一樹に似てると思ったものの、全然違う人間。


「どうやら、自力で逃げて来たようだな」


「あなた……あの時の……」