一樹は、点滴のチューブを弄りながら、
話に耳を傾けた。

「黒幕だ。スポンサーとも言うべきか……。

情報管理部にハッキングしたってのも彼女の独断とは考えにくいし、

いくらネットの履歴や彼女の周辺を調べても、

お前の飲まされた薬と、あのナイフの入手経路が分からなかった。

つまり、独断で入手したって事じゃない。

あと、何件かメールが削除された形跡があった……」

「……つまり……?」

一樹が口を開いた。

しばらく振りに声を出したので、
ひどく掠れていたが、樋口は少々安心した。



そして、答える。