そっと後ろを向こうとしたとき、頭の中で声が聞こえた。


《振り向くな。》


その声はつぐみ君だった。


そして激しい耳鳴りがあたしを襲った。


頭を押さえ、目を閉じ下を向く。


数秒くらいで耳鳴りはしなくなった。


そっと目を開けると、ここは教室ではなかった。


キョロキョロと周りを見渡しても誰も居ない。


「ここは何処??」


霧が出ていてよく見えない…


耳をすますと、波の流れる音が聞こえた。


ここは…


ベランダから見えるあたしの好きな海だった。


段々と霧がはれ、はっきりと見えてきた。


あたりはすっかり夜だった。


「あ、」


あたしはあるものに気がついた。


それは、海から雲へ上るきらきらした階段だった。


「これ、昨日の…」


「やっぱりそうだったんだ。」


フッと後ろを振り向いた。


そこにはつぐみ君がたっていた。


「つぐみ君、どうなってるの??やっぱりって??」