キーンコーンカーンコーン…


チャイムを耳にした時は靴箱に靴を入れたときだった。


完全に遅刻。


それは初めての遅刻だった。


「ユンが遅刻なんて珍しいな~」


中尾の声が聞こえた。


私は中尾の方に目を向けた。


その後ろの席が私の席で、またその後ろはつぐみ君の席。


その場に立ち止まる私。


つぐみ君の席につぐみ君が座っている。


不思議な出来事だった。


つぐみ君が私より先に学校に居たのだから。


「ユン、早く座りなさい。」


紀子先生が私に言った。


「はい。すみませン。」


私は下を向きながら席に着いた。


おかしい。


つぐみ君あたしより後ろに居たもん。


どうして?