「つぐみ君、急がないと遅刻するよ~」


「うん」


初めて聞いたつぐみ君の声。


どこかとても懐かしい感じがした。


私はやっとの思いでマーコのそばに来たけど…


「いっくよー」


と言いまた走っていった。


「待ってマーコ!!!」


チラッとつぐみ君を見て私は再び走り出した。


今私が走っているところを左に曲がれば学校が見える。


私は頑張って走った。


その時少し小さめの車がユンの隣を通った。


その車の窓ガラスに私とつぐみ君が映るはずなのに、なんでだろう…


ガラスに映ったのは私だけだった。


振り返るとそこにはもうつぐみ君の姿はなかった。


「さっきはいたのに…」


ぶるぶる…


体にめぐる恐ろしい寒気。


「あ、あ…遅刻しちゃう。」


私はとにかく学校に向かった。