「有り金、全部かよ。まぁ、あるに越したことねぇな」


「五千円ね」


「わかった、わかった!くれ」


「まいど」


拓馬が金を差し出すと、お婆さんはビー玉位の水晶玉を差し出した。


「え?婆さん、なんだよ、これ?」


「まいど」


「どうやって使うんだ?」


「まいど」


「チッ……」


家を出た拓馬は、とりあえず水晶玉をポケットにしまいこんだ。


再び出口へ向かおうと歩き出した拓馬は、ふと足を止める。


「……」


さっきの恐怖が妬きついて、外に出るのが怖い。


死……


頭に過ぎる、その一文字。


「……えーい!ここに居ても仕方がねぇんだ!さっきと違って武器もある!行くしかねぇ!」


そう自分に言い聞かせ、拓馬は震える足をなんとか制しながら再び町を出た。